意識をむけてみるといろんなものが見えてきますよね。お酒とオンガクが好きなサラリーマンが綴る、意識の向けどころページです。お仕事の息抜きや、お酒の肴にどうぞ。


by dasauso
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(無題)

最近、書くエネルギーというか、書きたい衝動に駆られることがないなあ、書くことがないからかなあと思っていた。

そんなある日、会社での仕事中、妻から、昼休みにでも電話くださいとのメールが入る。
妻は朝から産婦人科へ定期健診にでかけていた。もしや、おなかの赤ちゃんの性別がわかった、とかいうことだろうか。名前は男の子の場合と、女の子の場合と二つ考えていたが、片方はいらなくなってしまうということではないか。

けれども、そうではなかった。そうではなく、妻は泣いていた。
......!
そして、もうお腹の子供がもう動いていないと、力なく告げられる。

最初のうちは、まずは涙している妻を力づけなければという思いが先に立つのか、子供のことがまだよく実感できなかった。
けれども、電話を切ると、次第に悲しみがこみ上げてくる。これまで、会社で涙をながすことなんてことはなく、学校時代でも記憶にないが、その日は涙がでて涙がでてたいへん困った。周りには、急性の花粉症だと思ってもらえていただろうか。

想像の中での子供は、夢の中に登場する人物と同じように、その顔が定かではない。けれどもどの顔も笑っている表情ばかりであった。妻は夫と軽いもめごとになると、「ねえ○○ちゃん」と味方を一人ふやし、夫としては、立場が悪くなることしばしばであった。
子供が生まれる前からバカになっていた親としては、その分の喪失感も大きい。

ただ、思えることに、生まれてきてから亡くなるよりも、あるいは、体が弱いままでてくるよりも、まだ良かったのかもしれない。あの子は、この世で生きていくには、たまたま十分な力が備わっていなかったのだ。

春休みには、少し大きくなったお腹をかかえながら、旅行に行こうと話していた。海外にするか、慎重に国内にするか、どうしよう、と話していた矢先であった。しかし、今回のことは、旅行にいった後のことでなくて良かったと思う。もし後であれば、行ったことをたいへん悔やみ、そして悔やみきれないことになっただろう。

そういう意味で、今回、そういう自責の念にかられるようなことなかった。そういう意味でも妻は偉かった。大好きな酒も、コーヒーも完全に断っていた。「別に欲しいと思わないから」とはいうものの、横で夫がおいしそうなお酒を飲んでいると、口に含んで味を楽しんで、そのまま流しへ捨てていた。


午後の会議では多くの議題を前に、少しぼんやりしながらも、仕事モードへと連れて行かれた。帰りのバスで、再びいろんなことを考え出す。晩ごはんの食材を買うためにスーパーへ向かったが、店頭にあるフラワーショップの花を見てたらこれまた泣けてきた。

妻はその後仕事に出かけており、果たして食欲があるのかどうか、わからない状態であったが、いつまでも落ち込んでいるのではなく、明日からはまたきばって生きていかねば、と思い、晩ごはんは元気を出していくぞという印に、「焼き肉」を食べることにする。

帰宅後は二人して目を赤くしていたが、「焼き肉」の趣旨に妻も賛同してくれ、普段は買わないようなお肉を食べまくった。そして、久々に二人でビールを口にした。


人の話で、流産の話をきいたりすると、気の毒なとは思っていたものの、こんな気持ちになるようなことは想像できなかった。今回の出来事のおかげで、子供が生まれるということに、よりいっそう有難味を感じられるようになったのではないか。そういう気がする。

安らかにねむってね。 In Paradisum.
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by dasauso | 2005-03-06 18:51 | ニチニチ編